nice2have 活動レポート 「PCの中のツール」を卒業する日 ― 月9,000円が数百円に。職員が自分の手でAWS公開まで実践したAI駆動開発研修(第2回レポート)

nice2have合同会社 中島淳之介 2026年7月 #自治体DX #AI駆動開発 #AWS

作れるようになった次は、共有できる形にする。ある自治体のデジタル戦略部門で実施した全2回ハンズオン研修・第2回の記録です。

研修スライド
第2回のテーマは「作ったら、動かし続ける」。自分のPCの中から、稼働の世界へ渡る回。

はじめに

ある自治体のデジタル戦略部門の皆さま(約10名)を対象とした、全2回のAI駆動開発ハンズオン研修。その第2回を実施しました。企画と講師は私が務め、演習用のAWS環境(IAM権限設計、CloudFormationテンプレート、ショーケース環境)もすべて自作しています。

第1回では、参加者一人ひとりが自分のPCの中で動く業務ツールを完成させ、plan mode・CLAUDE.md・スキル・エージェントという「型」も身につけていただきました。第2回のテーマは「そのツールを部内・全庁に共有できる形にする」こと。自治体が持つAWS環境へのデプロイと公開です。

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①自分の困りごとツール → ②業務に役立つツール → ③AWSで動かし、公開。3つの体験を順に渡っていく設計。

なぜ「公開」までやるのか

狙いは判断軸づくりです。自分たちで対話型に作り続けるのか、ある程度作ってから業者に渡すのか。どちらが正解ということはありませんが、一度も自分の手でクラウドを構築したことがなければ、その線引きは決められません。だからこそ、公開までを一度通しで体験していただく構成にしました。

研修スライド
「作れる」の先にある問い。稼働させるまでに必要なことが、どこまで見えているか。

午前 ― 手を動かして知るクラウドの基礎

午前中は、AWSのコンソールを全員が自分で操作し、ネットワークから仮想サーバーまでを手動で構築しました。

  1. VPCを作る

    クラウド上に自分の区画を切る

  2. サブネットを切る

    区画の中に、サーバーを置く部屋を作る

  3. インターネットゲートウェイを付ける

    外とつながる出入口

  4. ルートテーブルを編集する

    出入口へ通信を流す経路を書く

  5. EC2インスタンスを起動する

    ようやくサーバー本体

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まずは自分の手で1つずつ。部品の名前と役割を、画面を触って体に入れる。

午後 ― 自動化と、「公開できた」の瞬間

午後は、午前の構築をCloudFormation(YAMLテンプレート)で一括作成しました。午前はEC2、サブネット、ゲートウェイ、VPCと依存関係を逆順にたどって消す必要がありましたが、作成も削除も1操作で片付きます。手順書ではなく設計図で環境を持つ意味が、手動との対比で見えてきます。

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クリック→コマンド→設計図へ。担当者交代・再構築が多い行政の現場ほど、上の段の価値が効く。

続いてS3にバケットを作り、第1回で自分が作ったHTMLツールをアップロードして公開設定を行いました。自分のスマートフォンから、自分の作ったツールが開けた瞬間——ここが今回のハイライトです。

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「ファイル置き場」が「Webサーバー」になる瞬間を、クリック操作で確かめる。

PCの中にあったツールが、
誰にでも渡せるURLになった。

さらにLambda・DynamoDB・API Gatewayのデモで、データベース連携のある構成も確認しました。見せるのがS3、受け付けるのがAPI Gateway、処理するのがLambda、覚えるのがDynamoDB。この4点セットが分かれば、多くの業務アプリの構成図は読めます。

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住民からの通報が保存されるまで。4つの役割に分けて見れば、構成図は読めるようになる。

コスト感覚という土産

この日いちばん持ち帰っていただきたかったのは、コストの桁感でした。EC2を24時間動かし続ければ、誰にも使われなくても月約9,000円。同じことをS3+Lambda+DynamoDB+API Gatewayのサーバーレス構成にすれば数十〜数百円です。Lambdaは月100万回実行しても約200円、DynamoDBは書き込み100万回で約1ドル。待機中の課金はありません。

この桁感を持っていることが、構成を決めるときの判断材料になります。試作や部内共有が目的なら、そもそもサーバーを1台立てる必要があるのか。どれだけ使われるか読めないものに、待機中も課金され続ける構成を選ぶのか。数字を知っていれば、その問いを最初に立てられます。

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アクセスゼロの月でも、サーバーを持てば同じ額がかかる。試作・共有こそサーバーレスが向く。

Claude CodeでAWSを操る ― ただし野放しにはしない

最後は、ここまでの手作業をAIに任せる体験です。AWS CLIを設定したClaude Codeなら、「S3に公開して」「DynamoDBでデータを保存できるようにして」という指示だけでデプロイまで完了します。手動でやったからこそ、速さの価値が測れます。

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Claude CodeがAWS CLIというリモコンを握る。日本語の指示が、そのままクラウドの操作になる。

ただし、便利さだけを渡して終わりにはしません。統制の型もセットでお伝えしました。

命名ルールをCLAUDE.mdに書くリソース名に必ずプレフィックスを付ける。名前の衝突も、他人のリソースを誤って消す事故も防げる
削除はplan modeで確認してから対象一覧を出させ、目で確認してから実行する
予算アラートを複数段階で意図しない課金に気づく仕組みを先に作る。設定もClaude Codeに頼める

AIに任せる範囲を広げるほど、ルールを先に書いておく価値が上がります。そしてもう一つ、クラウドを知っているほど、AIへの指示は適切になります。どういう構成で作ってほしいかを最初に言えれば、遠回りな試行錯誤が減り、時間もコストもかけずにAI駆動開発を進められる。午前から手を動かしてきたことが、ここで効いてきます。

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CLAUDE.mdはAIエンジニアへの指示書。ここに書いた約束は、毎回自動で守られる。

公開できたツールは、私が用意したショーケース環境(API Gateway+Lambda+DynamoDB構成)にツール名とURLを登録していただき、参加者全員で見られるようにしました。

おわりに

全2回を終えて、参加者の皆さまは「自分のPCの中で作る」から「クラウドに公開して共有する」までを自分の手で通されました。どこまでを自分たちでやり、どこから先を事業者にお願いするのか。その線引きを体験に基づいて決められる状態になったことが、いちばんの成果だと考えています。

本研修は、私(総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業アドバイザー)が企画・講師を務め、演習環境も自作して提供しています。同様の研修(AI駆動開発×クラウド公開)の設計・実施のご相談も承っています。

「作って終わり」にしない研修を、一緒に設計しませんか

総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業のアドバイザー制度を通じたご相談は、自治体側の自己負担なしでご利用いただけます。
AI駆動開発からクラウド公開までを通しで扱うハンズオンを、貴団体の環境に合わせて設計します。

お問い合わせ:lg@nice2h.com

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